
モロッコで初めての太陽光発電プラントのオープニングセレモニーが、2月4日にムハンマド六世主催でおこなわれた。この巨大プラントは、モロッコがこれまで推進してきたクリーンエネルギー政策の大きな一つの目標達成となる。
アブディッラー・ベンキーラン首相とフランスのセゴレーヌ・ロワイヤル環境大臣を始めとする各国の政府高官らが、モロッコ南部のワルザザートから約20キロメートルのところにある同プラントのセレモニーに出席した。
ロワイヤル仏環境相は、同プラントは「太陽と砂漠に恵まれたすべての国々に大きな希望」を与え、それらの国々がソーラーパネルを用いて発電する可能性をもたらしたと述べた。
「太陽光発電プラントは、モロッコが化石燃料への依存を減らし、再生可能エネルギーに移行し、二酸化炭素排出量を減らそうという決意の表れ」であると、同プラントの開発業者は述べた。
160メガワットの発電能力を持つ「ヌール1号」プラントによって、モロッコの出す温室効果ガスを劇的に低減させることが予想される。
プロジェクトでは、今年と来年には「ヌール2号」「ヌール3号」プラントが予定されており、さらに「ヌール4号」設置を要望する声も高い。
プロジェクトがすべて完成すると、「世界最大の集中太陽光発電プラント」となる予定で、500メガワットを発電し、2018年までに100万人以上のモロッコ国民に電力を供給することとなると開発業者は述べている。また、モロッコの二酸化炭素排出量を1年あたり76万トン減らすことになると続けた。これは、世銀の数字によると、モロッコは2011年に5650万トンの二酸化炭素を排出しており、76万トンはその約1%ほどに相当する。
モロッコは石油や天然ガスをほとんど埋蔵していない国であり、中東北アフリカ地域では最大のエネルギー輸入国である。
そのため、モロッコは、2030年までに4倍に増えると予想されている電力需要に対応するために、再生可能エネルギーを推進し、エネルギーの輸入依存度を減らす政策を進めてきた。この太陽光発電プラントプロジェクトは、その政策のなかで生まれたものである。
モロッコは、南西部の沿岸部に位置するタルファヤ地方で、昨年アフリカ最大の風力発電プラントを稼働させている。
来年開催される気候変動会議COP22のホスト国であるモロッコは、2030年までに32パーセントの温室効果ガス排出量を減らしたいと考えている。
モロッコは、2013年に「ヌール1号」の建設に着手した。総工費は6億ユーロで、約1000人の技術者・労働者が建設に携わった。
請け負ったのはサウジアラビアのデベロッパーであるACWA パワーで、アフリカ開発銀行、欧州投資銀行、世銀が資金援助した。
敷地面積はサッカーコート600個分の広さで、50万枚のソーラーパネルが太陽の動きに応じて角度を変えて太陽光を最大限受けられるようになっている。集められた太陽光から得られた熱エネルギーでスチームタービンがまわされ発電される。