ロシアとモロッコは、サハラ問題について国連安保理決議に対するいかなる侵害行為も認めない。
モロッコ国王ムハンマド六世のモスクワ公式訪問を受けて、「ロシア連邦・モロッコ王国間戦略的パートナーシップ宣言」が15日にモスクワで出されたが、そのなかで「ロシアとモロッコは、政治的プロセスを加速させる、あるいはサハラ問題を解決するために国連安保理決議で定義された要素を侵害するいかなる試みも支持しない」としている。
潘基文国連事務総長の発言に対し、モロッコ政府が「偏向」であるとして抗議したことから、モロッコと国連事務局の間で高まっている緊張に同宣言は焦点を当てたものである。
ロシアのラブロフ外相は、記者会見で、国連は「近年の誤解を越えて、建設的な役割を果たさなければならない」と述べた。また「これは古く、非常に深刻な問題である。しかし我々は妥協を探る以外に解決策はないと考えている」と強調した。
潘国連事務総長は、5月5日から7日にかけてアルジェとティンドゥフキャンプを訪問した際に、西サハラ地域に対するモロッコの主権について「占領」と表現した。さらに、MINURSO(国連西サハラ住民投票監視ミッション)は、「関係当事者らが合意すれば、自決を決める住民投票を実施する用意」があると述べた。
モロッコ政府は、このような発言は、2007年以来国連安保理で採択されてきた諸決議を逸脱するものであると考えている。安保理の一連の決議では、関係者らに対し、双方が受諾可能な政治的解決を探り合意に向けて努力するよう求めている。
モロッコは、潘国連事務総長の発言について、ポリサリオ戦線に好意的で偏向したものであり、「国連事務総長としての中立性と公正性に欠ける」ものであるとして、怒りを表明している。国連事務総長の発言は「政治的に不適切で前例のないものであり、安保理決議に反するものである」と、モロッコ政府は声明を発表した。