国連総会:国王陛下、南北格差の解消を呼びかけ
国連総会:国王陛下、南北格差の解消を呼びかけ

毎年九月にニューヨークの国連本部で開催される総会で、今年は、国王ムハンマド六世は、アフリカの発展に対する熱意と、アフリカ大陸での植民地主義の負の遺産によって南北格差が拡大していることを非難するスピーチを行った。スピーチは、アブディッラー・ベンキーラン首相が代読した。

スピーチでは、まず、持続可能な発展は、経済、社会、環境、安全保障、政治的な配慮が必要であるとし、これらすべてに関わる複雑な配慮を、各国は自国のペースで進める必要があると指摘した。

最も重要な点として、より貧しい国々は、より豊かな国々から、敬意をもって扱われるべきであり、自国にとって可能なことを世界からの援助によって達成することが許されるべきであると主張した。世界の指導者が、南の国々、特にアフリカを、話題にするようになってから、すでに長い時間が経過している。

国王のスピーチは、西欧諸国の政府の圧力に対するカウンターバランスとして重要である。西欧諸国の多くは、自国がかつて植民地勢力であったことを、そして自国の産業システムの欠如など、発展途上国の抱える問題の多くが植民地支配に由来していることを忘れているかのようである。

発展途上国は、植民地時代には、原材料やコーヒーなどの換金作物の供給元として利用され、植民地勢力の発展に寄与してきた。

国王ムハンマド六世のイニシアティブのもと、モロッコは、人的資源や、風力や太陽光など再生可能エネルギーの開発に率先して取り組んできた。とりわけ再生可能エネルギーの開発は、化石燃料に頼らない持続可能な発展を実現するための鍵である。アフリカを念頭に、国王陛下は、開発の諸問題に関して、先進国が発展途上国を正当に扱うことを呼び掛けた。

国王陛下は、各々の国とその文化、そして植民地主義の負の遺産にいまだに苦しんでいる国々に対する尊重の精神を呼びかけた。この点に関して、植民地主義によって、発展途上国は方向性を喪失し、文化が分断されたことを指摘し、旧植民地勢力は、発展途上国に対して急激な変化の導入を求めるいかなる権利も持っていないことを指摘した。

また先進国は、発展途上国への対応について、特により大きな支援を実施することについて、自覚し、現実的であるべきであると述べた。

発展は安定なしには実現しないと、国王は主張した。先進国は、不当に南の諸国をランク付けし、援助はそのランクに沿って実施されていると指摘した。

国王陛下は、モロッコがアフリカの肥料生産の分野で先駆的な役割を果たしたことを指摘した。昨年2月に、アビジャンでのスピーチに言及し、アフリカは人道援助と同様に、相互に裨益できるパートナーシップを必要としていると指摘した。

また、アフリカは過去の紛争のページをめくり、直面する諸課題を解決するよう進まなければならないことを強調した。アフリカは、深く根を張っている他国への経済的依存、財政基盤の脆弱さ、持続可能な発展モデルの不在を克服する必要があると述べた。発展途上国への援助は、オプションではなく義務であり、アフリカ諸国は良き統治を実現することでそれに応えなければならないと述べた。

国王陛下は、世界は今、交差点に立っている、つまり、発展途上諸国が安全と安定を実現できるように国際社会が支援するか、あるいは不正義と疎外の感情を増大させる過激主義や暴力、テロリズムの結果、紛争の増加する世界に耐えるのかである、と述べた。そして国際社会が協力して、より安全で、より平等で、より人間的な世界を実現することが必要であると締めくくった。

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